森の棲み家 土の中

植物たちの棲み家。集まって森の中。
みんなが寄り添って棲み家になってるのを見た。
あくる日の早朝です。

落ち葉がひしめき合う土を、一度救い上げると
土の中はひんやりと湿っていて、水の好きな植物さんには嬉しい寝床だと感じました。
この場所は、落ち葉で作られたベッドなんだね。

土

そんなふうに囁くと。
春の芽吹きが聞こえました。

 
桜の花びらが散って、死者の魂が眠っていて。
彼らは土となり、植物たちの母となる。

土は、役目を終えた魂が眠る場所。
新たな生命が宿る場所。

 

雨が振りました。
ざぁざぁと、声が聞こえました。

強い水滴の降り注ぐ衝撃は、新芽にはやや堪えるだろうか?
そう思ってたら、天井の木が言いました。

子どもたちは、私たちが見守ってるから大丈夫。と。
高い高い場所の木々が、雨の衝撃を和らげて一雫

一定間隔で心地よいリズムを大地に鳴らしました。

ぽつ、ぽつ、ぽつぽつ。ぽつ。。。

 
そうか、ココはそういう場所なんだ。
森は集合体で、みんなで心地よい棲み家を作ってるんだ…

私は思いました。

 

小鳥たち、色とりどりの囁き声で夜明けを告げます。
朝の空間を彩る小さく高らかな鼓動が、梢の隙間から光の訪れを告げます。
一日の始まり。今日も素晴らしい日となりますように。
 
早朝
 
ココはとても心地が良い。
生命は、この場所なら何の心配もなく育ってくれるだろう。

もしも、私がそこにおじゃまする場合。
少しだけ、スペースをお借りする場合。

みんなの棲み家を荒らさないように。
きちんと了解を得る必要があるな。と思いました。

 
あそこには、死者の魂が眠っている。。
私は、彼にときどき話しかけて。
未だ生きていた頃の面影を、そっと想像してみたりします。

私は、一時見せた彼の無残な姿に触れて、
この世の不条理を呪ったりもした。
しかし、それは無意味なことだった。

 
こんなにも素晴らしい世界が、目の前にある。

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